家族の成長とともに変化する子供部屋のかたち
家づくりを考えるとき、「子供部屋」をどうするかは、家族にとって重要なテーマの一つです。特に幼い頃は、子供が親と一緒にリビングで過ごす時間が多いもの。個室としてきっちり区切るのではなく、フレキシブルに使える空間にすることが、家族のライフスタイルに寄り添ったかたちといえるかもしれません。
西宮浜のリノベーションでは、子供室をリビングとつなげてひとつの空間にするデザインを取り入れました。ただの可動式間仕切りでは味気ないと感じたので、大きな開口部を設けることで、空間が自然につながりつつも、それぞれが独立した空間として感じられるバランスを目指しました。家族の気配を近くに感じながらも、子供も大人もお互いに心地よい距離感を保てる、この絶妙なつながりがポイントです。
大きな「マド」がもたらす新しい空間のあり方
大胆なサイズ感を持つこの開口部は、幅2200mm、高さ1500mm。まるで2つの部屋がひとつの空間として続いているような感覚を生み出しながらも、程よく区切られたプライベートな空間も感じられる工夫を凝らしています。子供が遊びに夢中になっている様子を、親がリビングからさりげなく見守れる。そんな距離感が、この大きな「マド」から生まれました。
ベンチにもテーブルにもなる多機能な開口部
この開口部は、視線をつなぐだけでなく、厚み500mmのカウンターとしても活用できます。腰掛けてくつろぐもよし、テーブルとして使うもよし。まるで縁側のように、家族が自然と集まって交流できる居場所として機能します。リビングと子供室を緩やかに分けながらも、どこかで家族の存在を感じられる。そんな小さな仕掛けが、家族の暮らしをより豊かなものにしてくれるのです。
リビングと子供部屋をあえて一体化した設計は、子供の成長とともに柔軟に変化していく住まいのひとつの答えです。ただの間仕切りや壁ではなく、家族の時間も個々のプライベートも尊重する。暮らしにしっかりと寄り添うこの設計が、住まいに温かみと心地よさをもたらしてくれるのです。