家づくりは土地探しから

家づくりにおいて、設計やプランニングだけでなく、最初のステップである「土地選び」は、家全体のデザインや住み心地に大きな影響を与える重要な要素です。クライアントからのご相談で、「土地が既に決まっている」というケースは実はそれほど多くはなく、むしろ「まだ土地が決まっていなくて…」という段階でのご依頼がほとんどです。実は、このタイミングでご相談いただくことで、スムーズにプロジェクトが進むケースが多いのです。

今回は、寺本の家を事例に、土地選びから家づくりがどのように展開していくのかをご紹介します。

初期の土地選びが成功の鍵

クライアントから最初にご相談をいただいたのは、別の土地を検討していた時でした。その土地は確かに魅力的なロケーションにありましたが、私たちが調査を進めるうちに、法規上の制約や施工上の制約が非常に多いことが判明。例えば、建ぺい率や容積率の問題、隣接する建物や地形との関係から、希望するプランを実現するには追加のコストが発生することが予想されました。

家づくりには夢や希望が詰まっていますが、現実にはこうした制約も避けて通ることができません。そのため、初期の段階で慎重に土地を選ぶことが、結果的にコストやスケジュールの面でも有利に働くのです。クライアントと話し合いの結果、この土地は断念し、別の土地を再検討することに決定しました。

光と風が心地よい土地との出会い

最終的に選ばれたのは、周辺環境が非常に整った、光と風が心地よく入る土地でした。リビングやダイニングに柔らかな自然光が差し込み、家全体に風が抜ける設計が可能な敷地条件は、私たちにとっても理想的なものでした。

しかし、どんな土地にも一長一短があり、この場所にも一つの課題がありました。それは、前面道路の幅が4メートル未満という点です。この幅は、住宅の施工において非常に重要な要素です。特に、建築資材を運び込む大型車両や、クレーン車などの機材を現場に入れる必要がある場合、道路幅が狭いとコストが大きく上がるリスクがあります。また、現場への搬入作業が難航すると、工期全体にも影響が出てしまいます。

土地選びからプロジェクト完了までの一貫したサポート

こうしたリスクを考慮しながら、私たちはクライアントと共に土地の購入前から事前に入念な検討を行いました。施工方法や資材の搬入ルート、近隣の協力を得るための調整など、現場での具体的な対策を練ることで、道路幅の問題に対処することができました。

特に、道路幅員については資材の運搬方法や建て方の方法など施工業者との綿密な打ち合わせを重ねた結果、スムーズに建築が進み、最終的には当初の予算内でプロジェクトを完了させることができました。

土地選びがデザインを左右する

このように、家づくりにおける土地選びは、ただ単に場所を決めるだけでなく、デザイン施工コストに大きな影響を与える重要なステップです。私たち設計者としても、クライアントが持つ理想の住まいを実現するために、土地の特徴を最大限に活かすプランを提案することが求められます。

今回のプロジェクトでは、光と風を最大限に活用するデザインが可能な土地を選んだことで、周辺環境と調和した居心地の良い住宅を作り上げることができました。そして、前面道路の幅という施工上の課題も、事前の綿密な計画と現場での対応によって解決。クライアントにとっても、予想以上にスムーズに進んだとご満足いただけました。

最適な土地選びが家づくりの第一歩

多くのクライアントが「まだ土地が決まっていない」段階でご相談いただくことが多いですが、これは家づくりにおいて非常に良いタイミングです。私たちが土地選びから一緒に進めることで、予算内での理想の家づくりが可能となり、後々のトラブルや追加コストを防ぐことができます。

土地選びから始める家づくりは、クライアントと設計者が共に作り上げる最初の一歩です。理想の住まいを実現するために、ぜひ土地選びの段階から私たちにご相談ください。