「視線の抜け」が広がりを生む

家の広さを表す際の単位といえば帖数ですよね。例えば「LDKが16帖/20帖/30帖」という感じで。
確かに30帖のLDKは広々とした空間が可能ですが、その分コストもかさんでしまいます。

「帖数以外に広がりはつくれないか?」つまり、コストを抑えつつ広々とした空間をどう作るか?
寺本の家では、「空間のボリューム」と「視線の抜け」を工夫することで、面積以上の広がりを実現しています。

この家のLDKは約22帖ですが、空間をメガホンのように設計し、あえて天井の低い部分を作り出すことで、そこから四方八方に広がる感覚をつくりだしています。家族の居場所を少し「すぼめる」ことで生まれる独特の広がりです。

窓から外を眺めると、想定以上の開放感のある空間が広がっています。図面上やCG上で広がりは何度もシミュレーションしていましたが、実際の広がりは想像以上ので、気持ちの良い空間となっていました。

室内に目を向けると、勾配天井があることで帖数以上の広がりを感じられます。
その先に広がるのは窓から見える景色。この家では「視線の行き止まり」をなくすため、開口部を配置しているのです。

ロフトへと続く天井には極力照明器具を設置せず、余計な要素を減らしているのもポイント

ただ帖数を増やすのではなく、視線の抜けや空間の広がりを工夫することで、コストを抑えながらも広さを感じられる家をつくることができました。余剰金ができたことで追加で芝生工事もおこなったほど。気持ちにゆとりも生まれます。

キッチンの室内窓からお隣さんのミカンの木が見えるように窓をつくっています
キッチンの奥にも窓を。どこを歩いても視線の行き止まりがありません

空間の気積、開口部の配置で広がりをつくるのはコストをかけず空間の魅力を高める方法なのかもしれませんね。