空間づくりには、時に「不都合なもの」が出てくることがあります。
ですが、それをどうアイデアで解決するかが、設計の醍醐味でもあります。
この窓がある壁は、耐震等級を満たすためにどうしても必要なものでした。言ってしまえば邪魔でしかありません。
様々なパターンを検討しましたが、あえてリビングの中央付近に配置するアイデアが思いつきました。
そうだ、この壁を独立させてしまおう、と。
しかし、ただ視界を遮るだけではつまらない。
そこで、「家具のように愛着のある存在に変えてしまおう」と考え、カワイイ窓を設けたnマドが誕生しました。
なぜ「n」なのかというと、クライアントのイニシャルからとったからです。
窓を開けると視界が広がり、のぞき込んだり、飾りを置いたりできる工夫も取り入れました。
まるで窓が一つのオブジェのような存在になっています。
実は、トイレのドアノブも「nノブ」にしました。nマドの棚も含め鎚絵さんに制作をお願いし、私たちのシンプルな図面をもとに見事に形にしていただきました。何とも言えない美しい光の反射が、本当にきれいです。
空間のデメリットを愛着のあるものに変える。
そうするだけで人と家との距離も近くなるのではと感じています。